中小企業のためのBCPの制作支援・見直し・実際のタイムライン設計と見直し・再設計
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冷房が止まれば、会社が止まる──BCPの原点を知ってますか?
国際規格「ISO 22301」につながる、1970年代の知られざる始まり

はじめに:BCPっていつからあるの?
BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)という言葉を聞いたことがある人は多いと思います。 最近では、地震や台風、感染症対策など、さまざまなリスクに備える計画として注目されていますよね。
でも…… その起源が「冷房」だと聞いたら、驚く人も多いのではないでしょうか?
「冷房が止まれば、会社が止まる」
1970年代、アメリカを中心に企業に導入されていたのが「水冷式メインフレーム」と呼ばれる超大型コンピュータです。 この機器は、常に一定の温度で冷却されていないと正常に動作しませんでした。
つまり──
冷房が止まる → コンピュータが停止する → 工場・物流が止まる → 納期が遅れる → 取引先からの信頼が失われる
それは、まさに会社が止まる瞬間でした。
“冷房を止めるな”がBCPの原点に
この重大なリスクに備えるために、企業が始めたのが:
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非常用電源の確保
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メンテナンス・保守体制の整備
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「冷房が止まった時にどうするか」という行動マニュアルの策定
これらの取り組みが、やがて「BCP(事業継続計画)」として体系化されていきます。
つまり、BCPの原点は、災害でもテロでもなく──
「冷房の故障」だったというのは、意外すぎるスタートですよね。

BCPの発展とISO規格
その後、BCPはさまざまなリスクに対応する形で進化します。 とくに2001年のアメリカ同時多発テロ(9.11)をきっかけに、 企業の事業継続対策が国際的なルール化へと加速しました。
2012年には、国際標準「ISO 22301」が制定。 これは世界で最も権威のある事業継続管理システム(BCMS)の基準であり、 現在では多くのグローバル企業・自治体がこの規格に準拠したBCPを整備しています。
日本ではどうだったのか?
日本でのBCPの普及はやや遅れました。 経済産業省が中小企業向けにBCP策定指針を出したのが2005年。 そして、2011年の東日本大震災を契機に、ようやくBCPが本格的に取り組まれるようになります。
結びに:BCPは“物語”を知ると腑に落ちる
「BCPって難しそう」 「結局、何から始めればいいの?」
そんな人にこそ、冷房から始まったBCPの原点を知ってほしい。 最初はとても物理的で、地味な備えでした。
でもそこには、
“会社を止めない”という本気の想いがあったのです。
出典・参考リンク:
- Business Continuity Institute([BCI, 1994設立](https://www.thebci.org/))
- [ISO 22301:2012 / 2019(Wikipedia)](https://en.wikipedia.org/wiki/ISO_22301)
- [Continuity2「The Development of Business Continuity Management」](https://continuity2.com/blog/the-development-of-business-continuity-management)
- [BCP‑Perfect「BCPの歴史」](https://www.bcp-perfect.com/bcp/bcp-history.html)
- [経済産業省「中小企業のためのBCP策定指針」](https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/index.html)
▶ 詳しく知りたい方は、ブログ『みのるの備え日記』の
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