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防災管理者とは? 大規模建築物などで必要となる防災管理制度を分かりやすく解説 ―防火管理者の基礎知識 2026.8.12更新

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防火管理者 代行業の疑問

防火管理者(防火防災管理者) 代行業の疑問

 


防災管理者とは?

防災管理者とは?

 


防災管理者とは?

大規模建築物などで必要となる防災管理制度を分かりやすく解説

「防災管理者」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

防火管理者は比較的よく知られていますが、防災管理者については、

「防火管理者とは何が違うのか」

「どのような建物で必要になるのか」

「地震や台風への対応をする人なのか」

と、分かりにくい部分も多い制度です。

防災管理者は、すべての事業所や建物に必要となるわけではありません。

主に、大規模・高層の建築物などにおいて、地震その他の災害による被害を軽減するために、防災管理に関する業務を行う責任者です。

この記事では、防災管理者の役割、必要となる建物、防火管理者との違い、資格や具体的な業務について、基礎から整理します。


防災管理制度とは?

防災管理制度とは、大規模地震などが発生した場合に、多数の人が利用する大規模・高層建築物等で混乱や被害が拡大しないよう、建物側に防災体制の整備を求める制度です。

消防法の改正によって設けられ、平成21年6月1日から施行されました。

一定の大規模・高層建築物等では、建物や事業所の管理について権原を持つ「管理権原者」が、防災管理者を選任しなければなりません。

さらに、防災管理者に、

  • 防災管理に係る消防計画の作成
  • 地震発生時の応急体制の整備
  • 避難訓練の実施
  • 被害軽減のために必要な防災管理業務

などを行わせる必要があります。

火災の予防や対応を中心とする防火管理制度に対し、防災管理制度は、大規模地震など火災以外の災害にも対応するための制度と考えると分かりやすいでしょう。


防災管理者とは?

防災管理者とは、防災管理対象物において、地震その他の災害による被害を軽減するための防災管理業務を担当する人です。

ただし、単に防災の知識を持っているだけでは、防災管理者に選任できるわけではありません。

原則として、

  • 防災管理業務を適切に遂行できること
  • 管理的または監督的な地位にあること
  • 必要な資格を有していること

が求められます。

また、防災管理業務は防火管理業務と一体的に行う必要があるため、防災管理者と防火管理者は、原則として同一の者を選任します。

つまり、防災管理者は「地震が起きたときだけ対応する担当者」ではありません。

平常時から防災体制を整え、計画を作り、訓練を実施し、災害時に建物内の人が安全に行動できる状態をつくる責任者です。


どのような建物で必要になるのか?

防災管理者が必要となるのは、消防法施行令で定められた一定規模以上の建築物や地下街などです。

代表的な対象は、次のような大規模・高層建築物です。

地上11階以上の建築物

地階を除く階数が11階以上で、延べ面積が1万平方メートル以上の建築物が対象となります。

地上5階以上10階以下の建築物

地階を除く階数が5階以上10階以下で、延べ面積が2万平方メートル以上の建築物が対象となります。

地上4階以下の大規模建築物

地階を除く階数が4階以下で、延べ面積が5万平方メートル以上の建築物が対象となります。

地下街

延べ面積が1,000平方メートル以上の地下街も、対象となる場合があります。

ただし、共同住宅、倉庫、格納庫など、一部の用途については対象から除外されます。

また、複合用途の建物では、対象用途や除外される部分の面積、建物の構造、管理権原の区分などによって判断が変わります。

そのため、

「11階建てだから必ず必要」

「面積が大きいから必ず必要」

と、階数や面積だけで自己判断するのは危険です。

最終的には、建物所在地を管轄する消防本部・消防署に確認する必要があります。


管理権原者とは?

防災管理者を選任する義務を負うのは、防災管理者本人ではなく、建物や事業所の「管理権原者」です。

管理権原者とは、建物の防火・防災について、法律、契約、慣習などに基づいて管理行為を行うべき立場の人をいいます。

一般的には、

  • 建物の所有者
  • 事業所の代表者
  • テナントの賃借人
  • 施設の管理責任者

などが該当します。

建物全体を所有者が管理している場合もあれば、テナントごとに管理権原が分かれている場合もあります。

重要なのは、防災管理者を選任したからといって、管理権原者の責任がなくなるわけではないということです。

防災管理者は、防災管理業務を実施する責任者です。

一方、管理権原者は、防災管理者を適切に選任し、必要な権限や予算、人員を与え、防災管理を実施できる体制を整える立場にあります。


防災管理者の主な業務

防災管理者の仕事は、資格者として名前を届け出るだけではありません。

実際に防災管理体制を整え、継続的に運用する必要があります。

1.防災管理に係る消防計画を作成する

防災管理者は、建物や事業所の実態に応じて、防災管理に係る消防計画を作成します。

計画には、例えば次のような内容を定めます。

  • 地震発生時の初動対応
  • 建物や設備の被害確認
  • 在館者や従業員の安否確認
  • 情報収集と伝達方法
  • 避難開始の判断
  • 避難誘導の方法
  • 負傷者への応急対応
  • エレベーター停止時の対応
  • 防火戸や非常口などの確認
  • 自衛消防組織の活動
  • 関係機関への通報・連絡

作成した消防計画は、所轄消防署へ届け出ます。


2.地震を想定した避難訓練を実施する

防災管理者は、防災管理に係る避難訓練を年1回以上実施する必要があります。

地震訓練では、単に建物の外へ避難するだけでは不十分です。

地震発生直後には、

  • 落下物から身を守る
  • 火気や危険設備を確認する
  • 建物被害を確認する
  • 負傷者を把握する
  • 避難経路の安全性を確認する
  • 館内放送や連絡手段を確保する

といった行動が必要です。

大規模建築物では、多数の人が一斉に移動すると、階段や出口に人が集中し、転倒や将棋倒しなどの二次被害が発生する可能性もあります。

そのため、「地震が起きたら、すぐ全員を屋外へ出す」という単純な計画ではなく、建物の安全確認と避難の必要性を判断する手順が重要になります。


3.災害時の応急体制を整える

大規模地震が発生すると、建物内ではさまざまな問題が同時に発生します。

例えば、

  • 停電
  • 断水
  • エレベーターの停止
  • 天井やガラスの落下
  • 家具や什器の転倒
  • 防火戸や扉の変形
  • 通信障害
  • 負傷者の発生
  • 火災の発生
  • 帰宅困難者の滞留

などです。

防災管理者は、こうした事態を想定し、誰が何を確認し、どこへ報告し、どのように対応するのかを事前に整理します。

災害時にその場で考えるのではなく、平常時に役割分担を決めておくことが防災管理の基本です。


4.施設や設備の維持管理を確認する

防災管理者は、避難や災害対応に必要な施設・設備が使用できる状態にあるかを確認します。

例えば、

  • 避難口や階段に物が置かれていないか
  • 防火戸の閉鎖を妨げる物がないか
  • 非常用照明が機能するか
  • 非常放送設備が使用できるか
  • 転倒しやすい家具や設備が固定されているか
  • 備蓄品が適切に管理されているか
  • 災害対策本部を設置できる場所があるか

などです。

消防用設備の法定点検そのものは、有資格者や点検業者が行う場合があります。

しかし、防災管理者には、点検結果や不具合の状況を把握し、必要な改善を管理権原者へ求める役割があります。


5.管理権原者へ必要な指示や改善を求める

防災管理者だけでは、建物の改修、設備の更新、予算の確保、人員配置などを決定できない場合があります。

そのため、防災管理上必要な事項がある場合、防災管理者は管理権原者に対して、必要な対応を求めます。

例えば、

「避難経路に常時荷物が置かれている」

「非常放送が一部聞こえない」

「夜間の対応人員が不足している」

「消防計画と実際の組織体制が一致していない」

といった問題があれば、放置せず改善につなげる必要があります。

防災管理者には、必要に応じて管理権原者に指示を求め、誠実に職務を遂行することが求められています。


防災管理者になるための資格

防災管理者として選任されるためには、原則として、甲種防火管理講習と防災管理講習を修了する必要があります。

実務上は、甲種防火管理講習と防災管理講習を組み合わせた「防火・防災管理新規講習」が実施されています。

また、一定の学識経験を有すると認められる人については、講習修了者以外でも資格が認められる場合があります。

ただし、資格を取得しただけでは、どの建物でも自動的に防災管理者になれるわけではありません。

防災管理者は、防災管理業務を適切に遂行できる、管理的または監督的な地位にある人から選任する必要があります。


再講習が必要になる場合がある

一定規模以上の建物で防災管理者として選任されている人は、原則として5年ごとに再講習を受ける必要があります。

再講習では、

  • 制度改正
  • 災害事例
  • 防災管理上の課題
  • 消防計画の見直し
  • 訓練の実施方法

などについて学び直します。

ただし、再講習義務の対象となるかどうかは、建物の規模や選任状況などによって異なります。

資格を取得した時期だけで判断せず、管轄消防署や講習実施機関へ確認することが大切です。


防火管理者と防災管理者の違い

防火管理者と防災管理者は、名前が似ていますが、制度の対象と目的が異なります。

防火管理者

防火管理者は、火災の発生を予防し、火災が発生した場合の被害を軽減するための業務を行います。

主な内容は、

  • 防火管理に係る消防計画の作成
  • 消火・通報・避難訓練
  • 火気使用の管理
  • 消防用設備等の点検・整備状況の確認
  • 避難施設や防火設備の維持管理
  • 収容人員の管理

などです。

防災管理者

防災管理者は、大規模地震など、火災以外の災害を含めた被害の軽減を目的とします。

主な内容は、

  • 防災管理に係る消防計画の作成
  • 地震発生時の応急体制の整備
  • 地震を想定した避難訓練
  • 建物や設備の被害確認体制
  • 在館者の安全確保
  • 災害情報の収集・伝達

などです。

簡単に整理すると、

防火管理者は火災への備えを中心とする責任者。

防災管理者は大規模地震などを含む災害への備えを行う責任者。

という違いがあります。

ただし、実際の災害では、地震によって火災が発生する可能性があります。

そのため、防火管理と防災管理は別々に切り離して運用するのではなく、同一の担当者が一体的に管理することが求められています。

 


 

防火管理者と防災管理者の違いについては、こちらの記事でさらに詳しく整理しています。

関連記事:防火管理者と防災管理者の違いとは?
https://kagawabousaiminoru.com/entry/boukabousaikanrisya

防火管理者は主に火災への備えを担当し、防災管理者は大規模地震などを含む災害への備えを担当します。両制度の対象や役割を比較しながら確認したい方は、あわせてご覧ください。


防災管理者と防災士は違う

防災管理者と防災士も、混同されやすい資格です。

防災士は、民間資格として、防災に関する知識や技能を学び、地域、家庭、職場などで防災活動を行う人です。

一方、防災管理者は、消防法に基づく制度の中で、一定の建物に選任される法定の管理者です。

防災士の資格を持っているだけでは、防災管理者として選任することはできません。

反対に、防災管理者の資格を取得していても、地域防災や災害全般について幅広い知識を持っているとは限りません。

両者は関連する部分がありますが、法的な位置付けと役割が異なります。


管理権原が分かれている建物では統括防災管理者が必要

大規模な商業施設や複合ビルでは、建物の所有者、管理会社、テナントなど、複数の管理権原者が存在することがあります。

この場合、それぞれの管理権原部分に防災管理者を選任するだけでは、建物全体として統一した対応ができません。

そこで、一定の防災管理対象物で管理権原が分かれている場合には、各管理権原者が協議して「統括防災管理者」を選任します。

統括防災管理者は、

  • 建物全体の防災管理に係る消防計画
  • 全体訓練
  • 共用部分の管理
  • 各テナント間の連絡体制
  • 災害時の統一的な指揮・情報共有

などを調整します。

例えば、テナントごとに避難開始の基準や館内放送の方法が異なれば、災害時に混乱が生じます。

統括防災管理者は、建物全体として一体的に動くための調整役です。


自衛消防組織との関係

防災管理者が必要となる大規模・高層建築物等では、自衛消防組織の設置も必要となる場合があります。

自衛消防組織とは、火災や地震などの災害が発生したときに、建物の従業員などが初期対応を行うための組織です。

主な活動には、

  • 災害情報の収集
  • 建物内への情報伝達
  • 初期消火
  • 通報連絡
  • 避難誘導
  • 応急救護
  • 被害状況の確認

などがあります。

防災管理者は、消防計画の中で自衛消防組織の編成や役割を整理し、訓練によって実効性を確認します。

名簿だけを作成していても、災害時に担当者が不在だったり、自分の役割を理解していなかったりすれば、組織として機能しません。

平日、休日、夜間など、勤務状況が異なる時間帯も想定した体制づくりが必要です。


防災管理はBCPと同じではない

防災管理とBCPは、関連性がありますが、同じものではありません。

防災管理は、主に建物内にいる人の安全確保と、災害による被害軽減を目的とします。

一方、BCPは、災害や事故が発生した後も、重要な事業を継続し、または早期に復旧することを目的とします。

例えば地震発生時には、

  1. 身を守る
  2. 火災や建物被害を確認する
  3. 在館者を安全に避難させる
  4. 負傷者へ対応する

といった防災管理上の対応を行います。

その後、

  1. 重要業務を継続できるか判断する
  2. 代替拠点や代替要員を確保する
  3. 取引先や利用者へ連絡する
  4. 復旧の優先順位を決める

というBCPの対応へつながります。

防災管理は、人命と建物内の安全を守るための重要な基盤です。

BCPを機能させるためにも、まず災害直後の防災管理体制が動かなければなりません。


資格者を置くだけでは防災管理にならない

防災管理制度で最も注意したいのは、防災管理者を選任し、消防署へ届出を行っただけで安心してしまうことです。

実際に必要なのは、

  • 現在の組織体制に合った消防計画
  • 担当者が理解できる役割分担
  • 定期的な訓練
  • 訓練後の振り返り
  • 建物や設備の変化に応じた計画の更新
  • 管理権原者による予算・人員面の支援

です。

テナントの入れ替え、組織変更、連絡先の変更、建物改修などがあれば、消防計画も見直さなければなりません。

何年も前に作成した消防計画が、現在の人員や建物の状態と合っていないケースもあります。

防災管理者は、届出書類のための名義ではありません。

建物の中で、実際に人を守る仕組みを動かす役割です。


まとめ

防災管理者とは、一定の大規模・高層建築物等において、地震その他の災害による被害を軽減するため、防災管理業務を行う責任者です。

主な業務は、

  • 防災管理に係る消防計画の作成・届出
  • 地震を想定した避難訓練
  • 災害時の応急体制の整備
  • 建物・設備の安全確認
  • 自衛消防組織との連携
  • 管理権原者への改善提案

などです。

防火管理者が主に火災への備えを担うのに対し、防災管理者は大規模地震など火災以外の災害も対象とします。

ただし、両者は一体的に運用する必要があるため、原則として同じ人を選任します。

大切なのは、資格者の名前を届け出ることではありません。

消防計画、訓練、役割分担、設備、連絡体制を継続的に見直し、災害時に実際に動ける防災管理体制をつくることです。

なお、防災管理者の選任義務や対象範囲は、建物の用途、階数、面積、管理権原の区分などによって判断されます。

該当する可能性がある場合は、自己判断だけで進めず、建物所在地を管轄する消防署へ確認してください。


出典・参考資料

消防法

e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC1000000186

消防法施行令

e-Gov法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/336CO0000000037/

総務省消防庁「防火管理、消防用設備」

https://www.fdma.go.jp/mission/prevention/suisin/post16.html

総務省消防庁「大規模・高層建築物等の自衛消防力の確保」

https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/h20/i/1673.html

総務省消防庁「防災管理制度」

https://www.fdma.go.jp/publication/hakusho/h30/chapter1/section1/para2/38292.html

東京消防庁「防災管理制度について」

https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/office_adv/jissen/p07.html

東京消防庁「管理権原者とは・防火管理者とは」

https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/office_adv/jissen/p03.html

東京消防庁「防火管理者の業務の委託について」

https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/lfe/office_adv/jissen/p06.html

東京消防庁「防火管理講習・防災管理講習」

https://www.tfd.metro.tokyo.lg.jp/sk/kousyu.html

一般財団法人 日本防火・防災協会

https://www.bouka-bousai.jp/

※消防法令上の対象判定や届出方法は、建物の所在地、用途、規模、構造、管理権原の状況によって異なる場合があります。実際の選任・届出にあたっては、必ず管轄消防本部または消防署へ確認してください。


 

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