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介護BCP研修では何を学ぶべきか? 内容・目的・現場で使うポイントを整理する①― 「介護BCP悩み言語化の後どうする?」10本シリーズ 2026.7.26更新

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介護BCP研修では何を学ぶべきか?

介護BCP研修では何を学ぶべきか?

介護BCP研修では何を学ぶべきか?

内容・目的・現場で使うポイントを整理する

はじめに

介護BCPは義務化されました。

そのため、介護施設や介護事業所では、BCPの策定だけでなく、研修や訓練、見直しの必要性が高まっています。

厚生労働省の資料でも、介護施設・事業所では感染症と自然災害の両方についてBCPを作成し、研修・訓練を定期的に実施することが求められています。入所系では年2回以上、通所系・訪問系では年1回以上の研修・訓練が示されています。

しかし、ここで注意したいことがあります。

それは、

BCP研修を受けただけでは、施設のBCPは動くようにならない

ということです。

研修を受けることは大切です。

しかし、研修の本当の目的は、知識を増やすことだけではありません。

自施設の弱点に気づくこと。

訓練につなげること。

記録に残すこと。

改善につなげること。

そして、災害時に本当に動けるBCPへ育てていくことです。

この記事では、介護BCP研修では何を学ぶべきか、研修内容の見方、現場で使うためのポイントを整理します。


介護BCP研修の目的は何か?

介護BCP研修の目的は、単に「BCPとは何か」を学ぶことではありません。

本来の目的は、災害や感染症などの非常時にも、利用者の安全を守り、必要な介護サービスをできる限り継続するための準備を行うことです。

厚生労働省の自然災害BCPガイドラインでも、災害発生時に適切な対応を行い、その後も利用者に必要なサービスを継続的に提供できる体制を構築することが重要だとされています。

つまり、介護BCP研修の目的は、次の3つに整理できます。

1つ目は、災害時に何が起きるかを理解すること。

2つ目は、自施設の弱点を見つけること。

3つ目は、研修後に訓練や改善へつなげることです。

研修を受けて終わりではありません。

研修をきっかけに、施設のBCPを見直し、実際に動ける形へ変えていくことが重要です。


介護BCP研修で学ぶべき内容

介護BCP研修では、さまざまな内容が扱われます。

自然災害。

感染症。

備蓄。

連絡体制。

職員参集。

避難誘導。

業務優先順位。

訓練方法。

記録の残し方。

どれも重要ですが、現場で特に意識したいのは、次の5つです。


1. 自施設のリスクをどう見るか

まず学ぶべきなのは、自施設のリスクをどう見るかです。

介護施設や介護事業所は、それぞれ条件が違います。

海に近い施設。

川沿いの施設。

山沿いの施設。

古い建物の施設。

夜勤者が少ない施設。

送迎が多い通所介護。

利用者宅を訪問する訪問介護。

認知症の利用者が多いグループホーム。

医療依存度が高い利用者がいる施設。

このように、施設や事業所ごとにリスクは異なります。

そのため、研修では一般論を聞くだけでなく、

自分たちの施設では、何が一番の弱点なのか

を考える必要があります。

地震の揺れに弱いのか。

水害時に孤立しやすいのか。

停電時に医療機器や空調が止まることが問題なのか。

夜勤帯に人が少ないことが一番の問題なのか。

送迎中に災害が起きた場合が課題なのか。

研修で得た知識を、自施設の条件に当てはめることが重要です。


2. 夜勤帯・少人数時の初動対応

介護BCP研修で必ず確認したいのが、夜勤帯や少人数時の対応です。

災害は、職員がそろっている日中に起きるとは限りません。

夜間、早朝、休日など、最少人数で運営している時間帯に発生する可能性があります。

そのとき、限られた職員で次の対応を同時に行う必要があります。

利用者の安否確認。

避難誘導。

初期消火。

119番通報。

施設内の被害確認。

家族への連絡。

職員への連絡。

備蓄や非常用設備の確認。

ここで重要なのは、理想論ではなく、現実にできる初動を考えることです。

夜勤者が1人、または2人しかいない場合、最初の10分で何を優先するのか。

誰が通報するのか。

誰が利用者を見るのか。

初期消火と避難誘導を同時にできるのか。

この部分が曖昧なままでは、BCPは災害時に機能しません。

研修を受けるときは、夜勤帯や少人数時に自施設が本当に動けるかを確認する視点が必要です。


3. 職員が参集できない場合の業務優先順位

大規模災害では、職員が予定どおり出勤できるとは限りません。

職員自身が被災することもあります。

家族の安否確認が必要になることもあります。

道路が通れないこともあります。

公共交通が止まることもあります。

保育園や学校が休みになり、出勤できない職員が出ることもあります。

つまり、

職員は必ず参集する

という前提だけでBCPを作るのは危険です。

研修では、職員が少ない場合に何を優先するかを考える必要があります。

食事。

排泄。

服薬。

見守り。

入浴。

レクリエーション。

送迎。

記録。

家族連絡。

行政報告。

通常時はどれも大切な業務です。

しかし災害時には、すべてを通常どおり行うことはできないかもしれません。

職員が通常の3分の1しかいない場合、何を続けるのか。

何を一時停止するのか。

誰が判断するのか。

この業務優先順位を考えることが、介護BCPの核心です。


4. 消防計画とBCPの接続

介護施設では、BCPだけでなく消防計画も重要です。

火災時の通報。

初期消火。

避難誘導。

防火管理者の役割。

消防訓練。

これらは消防計画で整理されているはずです。

一方で、地震、風水害、停電、断水、感染症などは、BCPの中で整理されます。

ここで問題になるのが、消防計画とBCPが別々の書類として存在している場合です。

消防計画ではAさんが指揮を取る。

BCPではBさんが指揮を取る。

消防訓練では避難誘導係が決まっている。

BCPでは別の役割になっている。

このようなズレがあると、災害時に現場が混乱します。

介護BCP研修では、消防計画とBCPの関係を確認することが重要です。

防火管理者、管理者、BCP担当者、現場リーダーの役割は整理されているか。

火災時、地震時、停電時で指揮命令系統に矛盾がないか。

訓練記録は別々に残すだけでなく、改善につながっているか。

ここを確認することで、BCPはより実務的になります。


5. 訓練記録と改善記録の残し方

介護BCP研修で必ず学ぶべきなのが、訓練記録と改善記録です。

BCPは、作っただけでは意味がありません。

訓練して初めて、問題点が見えてきます。

厚生労働省の介護BCP作成支援研修でも、BCPの作り方だけでなく、作成したBCPを役立つものにするための机上訓練が扱われています。

訓練後には、次のようなことを確認する必要があります。

何ができたのか。

何ができなかったのか。

どこで判断が止まったのか。

誰が迷ったのか。

連絡先は正しかったか。

備蓄は足りたか。

避難経路は使えたか。

BCPの記載と現場の実態は一致していたか。

大切なのは、訓練を実施したという記録だけではありません。

訓練で見つかった課題を、どのように改善するかです。

つまり、必要なのは、

訓練記録

と、

改善記録

です。

この2つが残っていなければ、BCPは育ちません。

研修では、記録を残す意味と、改善へつなげる方法を学ぶことが重要です。


介護BCP研修で終わらせないために必要なこと

介護BCP研修を受けた後に大切なのは、施設内で行動に移すことです。

研修を受ける。

資料を保存する。

感想文を書く。

ここで止まってしまうと、BCPは変わりません。

研修後には、少なくとも次の流れを作る必要があります。

研修内容を施設内で共有する。

自施設のBCPを開く。

研修で気づいた課題を書き出す。

次に行う訓練テーマを決める。

訓練を実施する。

記録を残す。

改善点を決める。

次回の見直しにつなげる。

この流れができて、初めて研修が現場で生きます。


介護BCP研修はPDCAの入口である

介護BCP研修は、PDCAの入口です。

PDCAとは、

Plan:計画する。

Do:実行する。

Check:確認する。

Act:改善する。

という改善サイクルです。

介護BCPに当てはめると、次のようになります。

Planでは、BCPを確認し、訓練テーマを決めます。

Doでは、机上訓練や実動訓練を行います。

Checkでは、訓練で見えた課題を確認します。

Actでは、BCPや役割分担、備蓄、連絡体制を改善します。

厚生労働省の自然災害BCPガイドラインでも、BCPは作成後も継続的に検討・修正を繰り返し、各施設・事業所の状況に即した内容へ発展させることが望ましいとされています。

つまり、介護BCPは完成品ではありません。

研修、訓練、記録、改善を通じて育てていくものです。


無料研修でできること、有償支援が必要なこと

自治体、関係団体、防災士会、社会福祉協議会などによる無料研修は、非常に重要です。

防災意識を高める。

危険箇所に気づく。

ハザードマップを見る。

備蓄や家具固定の基本を学ぶ。

訓練の必要性を理解する。

こうした入口の支援は、積極的に活用すべきです。

一方で、研修後に施設ごとのBCPを読み込み、消防計画と接続し、夜勤帯の訓練シナリオを作り、記録様式を整え、年間改善スケジュールを設計するところまで行くと、無料支援だけでは難しくなります。

そこには、時間、専門性、責任範囲、継続性が必要です。

だからこそ、無料と有料の境界を曖昧にしないことが重要です。

無料研修は、防災の入口として活用する。

施設ごとの継続改善は、必要に応じて専門支援を活用する。

この使い分けが、介護BCPを無理なく続けるために大切です。


みのる防災総合事務所が支援できること

みのる防災総合事務所では、介護BCPを「作って終わり」にしないための支援を行います。

たとえば、次のような内容です。

現在の介護BCPの見直し。

消防計画との接続。

防火管理者、管理者、BCP担当者の役割整理。

夜勤帯・少人数時を想定した訓練シナリオの作成。

災害対策本部の運営訓練。

訓練記録・改善記録のフォーマット整備。

年間BCP改善スケジュールの作成。

備蓄、避難経路、危険箇所の確認。

施設が自分たちでPDCAを回せるようにする仕組みづくり。

大切なのは、外部支援に丸投げすることではありません。

施設が自分たちで動けるように、仕組みを整えることです。

研修を受けた後、

「何を見直せばよいかわからない」

「訓練シナリオを作れない」

「消防計画とBCPがつながっていない」

「記録様式や改善記録を整えたい」

という場合は、施設ごとの状況に合わせて、無理なく改善できる形へ整理します。


まとめ

介護BCP研修で学ぶべきことは、単なる知識ではありません。

自施設のリスクを見ること。

夜勤帯や少人数時の初動を考えること。

職員が参集できない場合の業務優先順位を決めること。

消防計画とBCPをつなぐこと。

訓練記録と改善記録を残すこと。

そして、研修で学んだことをPDCAで回すことです。

介護BCPは、作成して終わりではありません。

研修を受けて終わりでもありません。

訓練し、検証し、改善し続けてこそ、現場で使えるBCPになります。

無料研修や防災士会などの支援は、防災の入口として活用する。

そのうえで、自施設だけでは難しい訓練設計、消防計画との接続、記録整備、年間改善計画については、専門支援を活用する。

無料と有料の支援をうまく使い分けながら、無理なく、継続的にBCPを育てていくこと。

それが、これからの介護事業者に必要なBCP改善です。

 


出典・参考資料

【出典1】厚生労働省
介護施設・事業所における自然災害発生時の業務継続ガイドライン
https://www.mhlw.go.jp/content/000749543.pdf

【出典2】厚生労働省
介護施設・事業所における業務継続計画(BCP)作成支援に関する研修
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/douga_00002.html

【出典3】厚生労働省
令和5年度 介護BCP策定支援セミナー「作成したBCPを役立つものにするための机上訓練を解説」
https://www.mhlw.go.jp/content/001263071.pdf


介護BCPの相談・見直しについて

介護BCPは、制度対応のために作成して終わる書類ではありません。

利用者、家族、職員、事業所、そして地域の介護サービスを守るために、研修・訓練・見直しを通じて育てていく仕組みです。

みのる防災総合事務所では、現在、香川大学大学院で災害・危機対応マネジメントを学びながら、介護BCPの改善活動について研究を続けています。

また、介護BCPの策定、既存BCPの見直し、訓練内容の設計、消防計画や防火防災管理者との整合性確認について、研究・支援を行っています。

「作ったけれど不安」
「訓練で何をすればいいか分からない」
「このBCPで本当に動けるのか確認したい」
「消防計画や防火管理者との関係が整理できていない」

そのような場合は、まずは関連記事や無料チェックシートをご活用ください。

今後も、防災ブログ「みのるの備え日記」では、

「作って終わりではない介護BCP」

をテーマに、研究・情報発信・支援活動を続けてまいります。


 


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